cinema

昨日、久しぶりに映画を見に行きました。
カポーティ』(恵比寿ガーデンシネマにて)
この映画は彼の作品『冷血』の製作過程における
カポーティ自身を描いたものです。
『冷血』はこのあいだ読んだんだけど、それはもう面白くて
私はかなり夢中になって読んでしまいました。
膨大な量の事件に関する資料の中から
ひとつひとつ丁寧に描写し、カポーティの観察力に脱帽します。
…が、しかし!!
まず、この映画は『冷血』を読まないと全く面白くない。
一応、ふれこみとしては
カポーティと殺人犯の心の交流」みたいのがあるんだけど
そもそも映画でのクラッター一家殺害事件についての描写が薄いし、
スミスがどういう生い立ちだったのかも描かれてないし…などなど、
全体を通して、かなーり“薄い”作りになっていて
正直残念でした。
もうちょっと違う作り方があったんじゃないかなって思います。
エンドロールが流れてきたとき、思わず「えっっ?終わり?」って思った。
けど、映画での良さってのも多少はあって
小説では描かれなかった部分があったり、
特に、断食していた囚人・スミスに、カポーティが離乳食を食べさせるシーンは
かなり印象的でした。
<死刑囚>対<記者>という立場を超えた、
ある種「愛」のようなものがあったはずだと思わせるシーンでした。
死刑囚・スミスに共感し、スミスと心を通わせるカポーティ
一方で、自分の作品を完結させるために
スミスの死刑を熱望していたカポーティ
『冷血』、是非読んでください。
ちなみに右上の写真は、カポーティ本人。
ガーデンプレイスバカラのシャンデリア。
 きれーい。